建売住宅のデザイン向上方法〜火打ち材の省略〜
今回紹介するのは「火打ち材の省略」です。
木造軸組工法の住宅で勾配天井や吹抜けをつくると、必ずといって現れてくるのが火打ち材と呼ばれる斜め材です。
私的には愛嬌があって好きなのですが、人によってはうっとおしいと感じる方も多いのでは無いでしょうか?
ちなみにこの火打ち材、方法によっては無くすこともできます。
ラフターロックと呼ばれる金物を用いることで、簡単に伝えますと耐力がアップするので、火打ちを設ける必要が無くなります。
↑垂木についている金物がラフターロック
詳細に説明しますと、垂木を固定した屋根面の水平剛性が、許容応力度計算により構造耐力上安全であることが確かめられた場合には、火打ちの省略が可能になります。
空間の開放性やシンプルさを高めたい時には役に立つかもしれませんので、良かったら参考にしてみて下さい。
住宅を設計するときの心がけ2
都心部の温度が上昇するヒートアイランド現象の原因として、アスファルトやコンクリートのような熱を蓄えやすい材料を多く用いていることが挙げられます。
熱を吸収し蓄えると、日中蓄えた熱が、夜になって放射され、一日中暑さが保たれてしまいます。
ヒートアイランド現象を和らげるには、熱を蓄えにくい材料を用いるといいかと思います。
そこで、熱を蓄えにくい高反射性(遮熱性)の材料を外部に用いれば、熱を反射して、建物の温度を下げることができます。
↑日本橋の車道
なので私の場合、極力デザインにこだわりがなければ、屋根や外壁には、白系の色を選ぶようにしています。
おわかりのように黒は熱を吸収しやすく、温まりやすいからです。
↑こちらは一戸建て住宅の屋根写真。材料はコロニアルで、色はアイスシルバー。
こういった小さな工夫で、少しでも環境問題の削減に貢献していきたいと思います。
住宅を設計するときの心がけ
最近、温暖化が進んだせいか、日本に降る雨量がとても気になります。
東京のような場所では土が少ないので、大抵の雨は下水に流れるようになっています。
「下水に雨が流れすぎると溢れてしまい、川が氾濫する原因となるので、極力建物の建っている敷地内で雨が浸透するようにすれば、下水も少なくできるのではないか?」
ということで建築をつくる人間として、設計した敷地で雨が浸透するような工夫をすることにしていきたいと思います。
そうは言ってもそんな壮大なことではなく、ほんの小さなことでもいいと思います。
住宅の敷地で例えると、
「外構計画ではコンクリート仕上げの床範囲を減らし、土仕上げにして植物を植える」
「植物が植えられないなら、砂利仕上げにする部分を増やす」
「敷地内に一部でも浸透ますを設けてみる」
庇のついているバルコニーなど、ある程度雨量を防ぐことが可能な場所であれば、その部分の雨水が浸透ますに流れるようにしても、溢れてくる可能性は低いので、取り込んでみる価値はあります。
「植木鉢を置いてみる」
植木鉢を置くだけでも、一時的には雨をある程度吸収してくれるので、効果はあると思います。
おまけに植物の蒸散効果や、遮熱効果で、ヒートアイランドを和らげる効果もあります。
住宅一つにしても、日本だけでも毎年何十万棟と建てられているのだから、効果はかなり大きくなります。
今からでも遅くはないので、共にこういうことを心がけて設計していきましょう!
建売住宅のデザイン向上方法〜クローゼット〜
「会社からも、お客様からも、高いデザイン性を求められているけれど、予算が決められている建売住宅のデザイン性を上げるにはどうすればいいのだろうか?」
建売住宅の設計を行っている方であれば、このような問題と日々格闘しているのではないでしょうか?
何事もそうですが、新しいものを世の中に生み出すにはまず、常識を疑ってみることが大切です!
新しい漫才のスタイルを生み出したお笑い芸人のように、つっこみなのにつっこまないというつっこみ改革のようなものです笑
ということで、日本の建売住宅のデザイン性を高めるため、今までの建売住宅の常識とは違う意識改革を紹介していきたいと思います。
▪️クローゼット
◇ウォークインクローゼット
ウォークインクローゼットであれば、ホテルやセレブの豪邸にあるような特別な空間とするために、壁紙にはカラーのついたものを用いてみるのはいかがでしょうか?
ホワイト系以外の壁紙を貼るだけでも、ウォークインクローゼットが他の空間とは一味違う特別な空間になるかと思います。
↑ウォークインクローゼットが特別な空間となります
収納内部に用いる可動棚も、ホワイト色だけでなく、壁紙の色に合わせて木目調などの棚板を設置し、設置金具やレールも、その棚板やクローゼット内部空間に馴染んだ色を用いることで、よりこだわりのある空間になるかと思います。
↑可動棚レールを壁紙の色に合わせるだけで、こだわって見えます
ちなみに壁紙が変わる見切り部分は、見切り材や枠材を用いる等、しっかりと見切れるよう注意しましょう。
◇オープンクローゼット
クローゼットには扉がついているのが一般的ですが、思い切って扉をつけないオープンクローゼットをつくるというアイディアもあります。
クローゼット扉がついていないことで、クローゼット内部は丸見えになりますが、部屋が広く感じられるなど、メリットもあります。
最近では無印良品さんやニトリさんでも、クローゼット内部をおしゃれに見せて、かつ整理整頓もできる商品も多く販売されています。
クローゼット内部が見えることで、自分が所有している洋服類も把握できるので、無駄な買い物をしなくなるという方もいらっしゃるくらいです。
隠したいときは、ロールカーテンなどで隠せば、いいかと思います。
おまけに会社からすれば、扉を付けないので、建築予算の節約にもなります。
◇スルークローゼット
欧米のマンションなどでは、ベッドルームの隣にウォークインクローゼットがあり、その先にバスルームがあるような間取りを見かけたりします。
中には、部屋の入口がウォークインクローゼットになっていて、そこを通って部屋に入るプランもあります。
↑ウォークインクローゼットを通ってベッドルームへ行く
最近では、コロナ禍などの影響で、外着を家の中に持ち込まないよう、玄関からシューズインクローゼット、ウォークインクローゼットを通って、洗面室に行けるような間取りも人気があったりします。
たかがクローゼット、されどクローゼット。まずはクローゼットのあり方を考えてみてはいかがでしょうか。